「宇治抹茶で行く」という方針の落とし穴
「うちは宇治抹茶一本でやっていく」という方針を持つ食品・飲料メーカーは多いですが、近年の市場変化によりこの方針にはかつてないリスクが生じています。宇治産への一極集中は品質・ブランド面では有利ですが、調達BCP(事業継続計画)の観点では大きな脆弱性を抱えています。
宇治一極集中の5つのリスク
リスク①:気候変動による収穫量変動
宇治地区の茶園面積は限られており、異常気象・霜害・病害虫の影響を受けやすい。単産地依存では、収穫不良時に代替調達手段がなく、OEM停止・製品欠品に直結するリスクがあります。
リスク②:需要集中による取り合い競争
「宇治抹茶使用」を訴求したい企業は国内外に多く、宇治産への需要集中が恒常化しています。品薄時には取り合い競争となり、既存取引先ですら必要量を確保できないケースが増えています。
リスク③:価格高騰リスク
需要集中が続く宇治産は、価格が高止まりしており、さらなる上昇圧力がかかっています。単産地依存では価格交渉力が低く、値上げ要求を受け入れざるを得ない状況になりがちです。
リスク④:サプライヤーの集約リスク
宇治地区の茶農家・製茶業者の高齢化・後継者不足が続いており、今後のサプライヤー数の減少が見込まれます。現在の取引先が廃業・縮小した際の代替先を事前に確保していないと、調達不能に陥るリスクがあります。
リスク⑤:製品コスト競争力の低下
宇治産プレミアムグレードへの依存が高い製品ラインは、原料コスト上昇が製品競争力に直接影響します。特に業務用・大量生産ラインでは、コスト最適化のための代替産地活用を検討すべきタイミングです。
💡 重要な視点:「宇治抹茶使用」の訴求は大切ですが、全量を宇治産に依存する必要はありません。製品コンセプト・用途・価格帯に応じて、宇治産(プレミアムライン)と他産地(業務用ライン)を組み合わせる戦略が合理的です。
産地分散・複線調達の設計
推奨パターン:用途別産地組み合わせ
- 高付加価値ライン:宇治産(プレミアムグレード)を継続
- 標準・業務ライン:静岡・西尾産(中〜上グレード)でコスト最適化
- 大量生産・RTDライン:鹿児島産・国産ブレンドで価格競争力を確保
- スポット補完:複数産地の代替サプライヤーを確保し、急な需要増に対応
複線調達を実現するステップ
- 製品ラインナップ別の抹茶使用量・グレードを整理する
- 宇治産以外のサプライヤーへのサンプル依頼を開始する
- 品質比較評価(色差・風味・溶解性等)を行う
- 評価合格したサプライヤーと年間契約または確認取引を開始する
- 緊急時の発注体制(窓口・連絡先・価格条件)を事前に確認する
産地分散・複線調達の設計相談
宇治産に依存しない安定調達体制の構築をサポートします。産地別サプライヤーのご紹介・見積取得まで一次対応します。